植え方・育て方

一般地では5月初旬、降霜の心配がなくなってから定植します。
定植2週間前に1m2あたり苦土石灰100グラムと堆肥を2キロ〜3キロ入れてよく混和してください。
マルチを張ると地温の確保と雑草の防除ができます。1m〜1.5m四方の床をつくり水が溜まらないようにしてください。床の高さは排水不良の場合は高くします。

定植時、初期生育を促すため株元にボカシ肥料か化成肥料を一握り程度与えます。つるぼけを防ぐためにも与えすぎには注意してください。ウリハムシに葉を食べられることがありますのであんどん囲いをするといいでしょう。冷たい風からも守ってくれます。
あんどんから葉がでてきたら、風のない日にゆっくりと外して寝かせてあげます。茎や葉が柔らかいので風で転んでしまわないようにU字ピンで固定します。受粉用かぼちゃも同様にして定植していきます。
雄花苗にもひょうたんのような形をした実がつきます。実をつけると樹勢が落ちやすいので、見つけたら取り除いてください。8月以降は放置でかまいません。

万次郎カボチャは7月中旬〜降霜まで生育が一気に加速していきます。つるが伸びる先は除草してください。その際に追い肥をつる先へしていきます。
受粉作業については、基本的に虫任せでも十分です。人工受粉する場合は、朝の八時ぐらいまでに、雄花を摘んで花びらをとり、雌花の柱頭に触れるか触れないかぐらいにつけます。雄花一本で5、6個は受粉が可能です。

万次郎カボチャの植え方PDF(945KB)

収穫

収穫の目安についてですが、一番簡単なのは太陽に当たらない部分(グランドマーク)を見て黄色くなっていれば収穫時期です。一般的な西洋かぼちゃのように果梗(茎とかぼちゃが繋がっているところ)部が肥大したりコルク化はしません。

霜が降りれば葉や茎は溶けるように枯れていき、次の霜で果実が凍ります。腐りやすくなるため、それまでに収穫をしましょう。
収穫時は果梗が大変硬いため、剪定鋏などをご使用ください。果梗部(へた)が取れてしまうと傷になりますので腐りやすくやります。取れたものはお早めにお召し上がりください。

収穫後は風通しのよい場所で果梗の切り口が完全に乾くまで置きます。デンプンが糖に変わり、2ヶ月貯蔵すると最高に糖度は高くなります。

万次郎カボチャマイスターからのアドバイス

万次郎カボチャを長年作られている農家の方にお話を聞きました。
高知県香美市香北町アンパンマンミュージアムから徳島県よりに7kmほど進んだ、蕨野(わらびの)地区で有機無農薬栽培(有機JAS認定)を営んでいらっしゃる山中道博(高知ものべ川有機農業推進協議会会長)さんです。
山中道博さん

Q万次郎カボチャの魅力を教えてください。
山中今までに色々なかぼちゃを作ってきたし、見てきたけど万次郎ほど元気なかぼちゃはないよね。病害虫に負けない。樹勢が強い。そして多産。有機肥料で育てれば、糖度も高いしモチモチっとして美味しい。家庭菜園の人も農家の方でも美味しいものを無農薬で作りたいって思いますよね。
Qずばり!万次郎を美味しく作るにはどうすればいいですか?
山中一番大事なことは施肥設計。私はすべての作ごとに土壌診断をして、その作物にあった肥料を施しています。キャベツ、人参、キュウリ、インゲンなど作期も気候もそれぞれ違いますから。その中でも万次郎は4月から遅いときは12月まで畑にいるので、それに併せて施肥設計しています。
Q最初から最後まで長く効かすということが大事なんですね。具体的にお伺いしてもよいですか?
山中特別な肥料というわけではありません。農協さんに頼んで取り寄せてもらったり、JBF(ジャパンバイオファーム)から購入したものです。緩やかに効くものや素早く効く肥料を組み合わせて使います。有機JAS認定資材ですね。
Qお聞きするだけだと非常に難しくハードルが高いと思いますが、ご自身で設計されるのですか?
山中全部パソコンが計算してくれます。土壌診断で得た情報もパソコンに繋げた装置が読み取り、そこからカルシウムやマグネシウムなど作物に必要な肥料分を計算してくれます。大事なことは必要な分、畑に足りていない量だけ施すことですね。
私の仲間は畑の土を持ってきてくれますので、施肥設計しています。
持ってきてくれない人の畑は、万次郎が大きかったり小さかったり、腐ったりしています。
特に今年みたいに雨が続いた年は、保存が効かないと思いますよ。
Q山中さんやお仲間さんの万次郎はどうでした?
山中もちろん良かったですよ。今年はアクシデントがあって色々と世話ができず、雑草の防除も間に合っていなかったのですが、きれいな万次郎が収穫できています。昨年から肥料を変えてみて良い結果が得られたので、甘くてモッチモチの万次郎ですよ。施肥設計がしっかりとできていなければここまで収穫は得られなかったでしょう。
Q最後に土壌診断をして、万次郎にあった施肥設計をすれば誰でも美味しい万次郎が作れるのでしょうか?
山中可能だと僕は思ってる。天候だとか鳥獣被害で収量が減ったとしても、いい作物は作れますよ。多少の費用はかかりますが、毎年土を送ってきて施肥設計してほしいという方もいます。
基本的にフルオープンの人間だから(笑)聞かれたら何でも答えちゃう。

山中先生による栽培マニュアル

万次郎カボチャ栽培マニュアルPDF(3MB)

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